ご挨拶

 
 会長の平岡です。あおもり協立病院で産婦人科医をしています。医師になってから28年になります。青森に赴任したのが1992年です。1994年から現在の協立病院で診療を始めました。1995年から県医師会の要請を受け、東青地域の高校を中心として性教育活動を行っています。思春期保健について取り組むようになったのはこの頃からです。
 産婦人科には様々な領域がありますが、私が大学時代に学んだのは主に周産期(お産を中心とした領域)です。大学から弘前の健生病院に移ったときは、「健やかに産み、健やかに育て、健やかに働き、健やかに老いる」ということを目標にした、女性の一生をサポートする活動をしていました。大学時代から、社会医学といえる領域にも興味を持っており、妊婦の職業と早産や低出生体重児との関連なども研究していました。弘前の時期は性成熟期から更年期についても学びました。
 青森に移ってからは、県医師会からの要請もあり、思春期に関わることになりました。

 青森西高の校医になり、東青地域の高校を中心に性教育講演を行いました。最初は何を講演してよいかわからず、思春期に関する様々なデータを集めました。日本性教育協会や東京都性教育研究会、NHKの意識調査などをとおして、現代の若者たちが置かれている状況が徐々にわかってきました。もう一つ、「リプロダクティブヘルス・ライツ」という考え方、すなわち若者たちが性に関する自己決定を行うための必要な情報を提供することがとても大切なことがわかりました。そこで、高校生にわかりやすく性に関する講演を行うようになりました。主観的にならず、様々なデータを示しながら講演するという、私のスタイルが確立してきました。
 この間、中学校の性教育も青森保健所(青森市が中核市になる前のことです)のモデル育にも取り組みました。しかしながら中学校ではその後継続して講演を行うことはありませんでした。青森市の中学校の性教育は、現在では元気プラザの保健師の皆さんが活躍しています。すべての中学校で性教育講演の企画ができると、「性に関わる正しい知識を伝える」ことができるのではないかと思います。中学校で一通り聞いていると高校では応用編の講演ができるのですが、現状は高校での性教育は中学校で講演を聴いたことのある生徒とそうでない生徒が一緒に対象になります。基本は1年生か2年生で1時間ぐらいの講演を年1回行うスタイルですが、様々なテーマが要求されます。すべてを包括的に講演していかなければなりません。現在行っている標準的な講演は、①思春期とは、②思春期におけるカラダの変化、③妊娠について、④中絶について、⑤性感染症について、⑥性被害について、⑦人間のいのちについてなどを取り上げています。120枚ぐらいのスライドファイルを用いて広く浅く講演を行っているのが現状です。
 最近はいくつかの高校で総合的な講演と、男女別の講演を行うこともあります。性教育の機会を増やすことや、テーマを絞った講演や企画をできるのはすばらしいことだと思います。
 講演が中高生の性行動・性意識にどう影響を及ぼしているのかはよくわかりません。しかし、現代は情報化社会といわれ、インターネットなどを通じて様々な情報を得ることができます。しかし、とりわけ性に関する情報の中で「何が正しいのか」「どう考えていけばよいのか」というメディアリテラシーの一助になればと考えています。
 あおもり思春期研究会は、思春期の子供を中心に、大人たちがネットワークを作り、援助を行うために立ち上げました。思春期の問題に関わっている多くの人たちに参加していただければと思います。